第2章 ティガー

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「俺は戦闘機パイロット目指してた訳じゃ無いんだよ。親に航空自衛隊の小松って基地の航空祭に幼い頃連れていって貰ったけど、憧れたのは、海自のP-3Cだったしな。ソーンは?」 「・・・俺はじいさんに三沢に連れていって貰って、外からよく眺めてたファントムに憧れた。当時青い迷彩のヤツが飛んでた。まぁ、無理だろうと思って15志望したけどな」  最も、学力足りなくて空自パイロットとか夢のまた夢だったけど、と付け加える。 「私は・・・・・・・・・」  そこで止まる。 「「?」」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「どうした?」 「・・・・・・・・・・・・すみません、よく思い出せないです」 「・・・・・・・・・?」  言いにくそうにしている感じとかでも無い。素でよくわかっていない感じだ。  結局、それ以上触れもせず、適当に雑談になった。    SIDE “イルビス”  会話の内容が、特に取り纏めの無いものにシフトする。ーまた気を遣わせてしまったのか。思い返してみても、自分でも何故フランカーに乗り始めたのか、よく思い出せない。思い出せないけど、理由も無しに飛行訓練課程に耐えていけてる訳がなかった。それなりに強い理由、想いが有ったはず。だけど、なんでかな。思い出せない。なんで・・・・・・・・・ 「ーイルビス?」  ぼっとしていた。クルィークに呼ばれる。 「はい、なんでしょう?」  「酔ってる?寝たかったら寝ていいぞ。連れ帰ったるし」 「いえ、大丈夫です。それより、また一杯注文しても良いですか?」 「・・・・・・・・・マジか・・・・・・」  ソーンの表情が驚愕に包まれる。私自身、自分がここまでアルコールに強いとは予想外。 「いえ、流石にアルコールは・・・・・・カプチーノ1つ、お願いします。お二人は?」 「「やめとく」」  数分おいて、私の前にカプチーノが置かれた。  口に含み、チョコレートとコーヒーが合わさった甘い風味が流れ込んでくる。ー幸せ。  先輩達が空戦機動の話を始めた。昼の飛行訓練の時の話だ。Su-35Sの私と違い、先輩は2人ともMiG-29乗り。飛行性能に差が有り、会話についていけなくなる。  機体が違えば戦い方が変わるのも当然。    
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