第3章 フランカー

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 SIDE “イルビス”    着隊から3ヶ月が経過。先日とうとうOR要員・・・つまり実戦要員になった。隣国のきな臭い情勢は相変わらずと言ったところ。とは言うものの、基地に流れる雰囲気は穏やかそのもので、何時かかるか分からないスクランブル以外、特に緊張感もない。そういえば、そろそろ聖モルシュカ祭がー  ジリリリリリリリリリッ!!!! 「!?」  ベルが鳴った。日記を記す手が止まる。 「ー何?」  ここはアラートパッドではない。自室、独身士官宿舎だ。 『ー総員に伝達する。総員に伝達する。先ほど1856時、ブリャンカ山の大規模噴火を確認した。火砕流発生の恐れあり。繰り返し伝達する。先ほど1856時ー』  基地内一斉放送がかかる。  ー火山が噴火ー?  ブーン・・・ブーン・・・ブーン  携帯に着信。ティガー隊のグループRINEだ。内容は・・・『非常呼集』  ハンガーに掛かってた飛行服をひったくり、身に着けた。    ブリーフィングルーム 「ー遅くなりました!」  ドアを開くとそこには、クルィークとソーン、15飛行隊のF-16乗り達も居る。  私の着席後に気象士官が説明に入った。 「ーそれでは状況説明に入る。先ほど1856、当基地から西方に180キロメートルの位置に有るブリャンカ山が噴火した。当火山はレイヴェン・アルプスの数少ない活火山だ。現時点において、大規模な火砕流が発生していると思われるが、現場の状況が不明である。そのため、15飛行隊の2機のF-16Dに偵察ポッドを降着、現地の撮影を頼みたい。コールサインはシャッター01、02だ。良いな?」 「「「「了解!!」」」」 「それに伴い、ティガー隊には現場空域に進空し、CAP(戦闘空中哨戒)を任せたい。知っての通り、レイヴェン・アルプスを挟んだ向こうはアルフィリオだ。当然向こうも偵察のため、F/A-18を上げてくるだろう。考えたくは無いが、もしもの事態も有り得る。とにかく奴等を領空に入れるな。コールサインは、アックス01から03。良いな?」 「「「了解」」」 「よし、実施。」  装具室  カチャカチャッ・・・カチャ・・・  7名のパイロットが装具を装着する音が響く。 「準備終わりました」 「イルビス速っ」  クルィークがハーネスのジッパーを閉めながら言う。
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