第3章 フランカー

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「火山災害か・・・あまり無いケースだな。」  ソーンがフライトグローブを装着しながら膝のメモをチェックする。ソーンの飛行位置は火山に近い位置で警戒に当たる。大量の火山灰を浴びる事になるのだろう。飛行ポイント、高度等を何度も確認している。 「ー行くか」  クルィークの合図でエプロンに出た。満月の光が強い。青白く照らし出されたエプロン上に私達の機体が翼を並べている。 「ーフル装備・・・」  左右両翼端にヒビヌィ電子戦ポッド、翼下に片翼2発のR-74空対空ミサイルと1発のR-77中距離空対空ミサイル。さらに、胴体下に4発のR-77。合計10発のミサイルを搭載している。 「お疲れ様です!」  私に駆け寄るリュークに一礼する。チェックシートは後回し。コックピットに乗り込んだ。機体自体は既に電源が入っており、大型液晶ディスプレイが煌々と輝く。  ジェット・フューエル・スターター始動ー。    ブリャンカ山まで140キロメートル地点 ウェイポイント3 『ジョインナップ。編隊を組むぞ。エシュロンクローズだ。』  偵察機である2機のF-16の左後方につく。私はこの編隊のエスコートに就いている。  1時方向前方に黒い噴煙が上がっているのが見える。 「すごい・・・・・・・・・」  かなりの高度まで噴煙は上昇しているはず。火山灰がキャノピーに与える影響が気になる。 『アックス02、エリア到達、CAPに入る』  ソーンが哨戒飛行に移行した。正方形のトラックパターンでの飛行に入る。 『ーレーダー波感知・・・・・・F/A-18が2機・・・「ヤツら」だ。稜線に隠れて飛んでやがったか!!』  無線に緊張が走る。ソーンが早くも「敵」と接触したらしい。 ≪アックス02、ホーネットは領空外。まだ撃つな。こっちから手出しは無用だ≫ 『アックス02、ラジャー。地形を利用すればアムラームでもかわせる。問題無い』  最も、それは向こうも同じこと。    
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