第3章 フランカー

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 アルフィリオは非常に標高が高い山岳国家。その空を防衛するF/A-18乗り達は山岳における空戦のエキスパートだ。ましてや2対1。分が悪すぎる。  ソーン・・・・・・。  ディスプレイ越しとは言え、私が見る初めての実戦になる可能性が出てきた。当然戦闘になれば、死人が出る可能性が高い。何故なら今は・・・・・・ 「戦時下・・・・・・」  言葉に出すと同時に悪寒が走った。本当に殺し合いに発展する可能性が充分にある事態なのだから・・・・・・。  SIDE “ソーン” 「ハッ・・・・・・・・・」  正面から2機が突っ込んでくる。既に向こうの中距離ミサイル・・・・・・AIM-120Cアムラームの射程内だ。同時にこちらも向こうを射程に捉えた。  ・・・・・・・・・・・・?  既に急機動をしても回避出来るか解らない射程。だが撃ってくる気配は無い。レーダー波の照射こそされているものの、ロックオンされてはいない・・・・・・・・・いや、油断できない。 「データリンクで撃ってくる・・・・・・か?」  ・・・・・・・・・いや、なら何故撃たない?  データリンクで指定されたポイントまで飛び、そこでアムラームを放って逃げれば、自ら電波を発せず攻撃、離脱が可能だ。 「向こうも考えていることは同じか・・・」  国境付近にこちらが進空してきたから、睨みを効かせるために上げたか。 「・・・・・・・・・・・・」  距離が更に詰まる。並走させるためか、一度大きく膨らむように右に旋回した後、斜め左から接近してきた。  国際緊急周波数に合わせた瞬間ー 『ーレイヴェン空軍機、聴こえるか?こちらアルフィリオ空軍。』 「・・・こちらレイヴェン公国空軍。」 『レイヴェン空軍機、貴機は我が国領空を侵犯した。我が誘導に従え。繰り返す・・・』  一方的な通告。だがここは・・・。 「こちらレイヴェン公国空軍機。ここは我が国領空。誘導に従うつもりは無い。そちらこそ退去しろ。さもなくばー」  言いかけた刹那  ヴォルルッ!!!!  左真横のF/A-18の機首から火炎と共に前方空間に向けて、ピンク色の筋が伸びた。 「ッ!?・・・警告射撃かよ!!」   20ミリ曳光弾。敵は機関砲を射撃した。  ヴォルルッ!!!!  さらにもう1連射。どうやら本気らしい。 「アックス02、交戦に入る!!」  スロットルを押し込み、スティングを手前に引いた。  頭上から重圧が押さえ付けてくる。  急激に跳ね上がるGメーターとAOA。2機のF/A-18・・・ホーネットが喰らいついてきた。  ピッピッピッピッピッピッピッ・・・・・・  ロックされた。
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