第3章 フランカー

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   SIDE “イルビス”  ソーンが「交戦」とコールしてから2分。私達の緊張感は非常に高まっている。何時こちらにもホーネットが接近してくるかわからない。最も、接近してきたなら撃墜するだけ。  まもなくブリャンカ山。偵察ポッドを装着したF-16が、火砕流が襲ったであろう位置を撮影した。 『無人地帯で良かったとしか言えねぇな』  本当にそう思う。無数の高温の岩石の津波が凄まじい速度で全てを飲み込んで行くのだ。人が居たら助かるはずがない。 『上昇するぞ。22000だ』  2機のF-16が上昇していく。私は編隊を守れる位置にさえ居れば良い。  ブリャンカ山の火口を睨む。赤い溶岩が吹き出し、流れていく。液化するほど高温の岩石。それが地中ではなく、私達が居る外の世界に流れ出ている・・・恐怖を覚えた。  
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