第3章 フランカー

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 赤外線画像には、火口付近に大量の熱源反応。溶岩が流れ出している様が解る。 「・・・その辺で止まって・・・・・・」  この近辺に民間人は居ない。それでも、眼下の溶岩流の行く先を案じた。  レーダー表示のソーン機と、追尾するホーネットの反応が点いたり消えたりを繰り返している。稜線から出たり隠れたりを繰り返しているようだ。 「・・・・・・・・・!」  ソーン機が居る方角に白い光が大量に舞った。撃墜ーいや、違う。フレアー・・・  援護に向かいたいが、偵察編隊を守らなければならない。件のホーネットは一切こちらに向かってくる気配が無い。ソーンをずっと追い回して居る状態・・・。  SIDE “ソーン” 「しつっけぇな・・・!!」  さっきから俺を追い回すホーネット、飛びかたにやけにクセがある。妙な既視感があった。    前方に橋梁。何百年も前に造られた朽ちた鉄橋。幅が狭い。機体を90度ロールさせたナイフエッジと呼ばれる姿勢で潜り抜けた。  後方を振り替える。 「!!?」  同じく、橋梁を潜り抜けたホーネット。だが潜り抜けた瞬間、二旋転のエルロンロールをした。余程やり慣れてクセになってるか、意識しないとやらない機動だ。ましてや交戦中になど。  国際緊急周波数に合わせた。 「おい、後ろのホーネット。さてはゲイリー・ライトだなオメー」  ホーネットに呼び掛けた。 『・・・ほう、よくわかったな、ファルクラム。ファンか何かか?』 「エアレース中継で何度も見た。旋回と切り返しでいちいちロールする謎機動とかなぁ!!」 『それは光栄だな。生で観せてやるから我の誘導に従え。バルゼ基地に誘導する』 「なんか言ったか領空侵犯野郎!!?今すぐ領空外に逃げるか誘導に従え!!さもなくば本当に撃墜するぞ!!」 『フッ・・・』  鼻で嗤われる。こちらは後ろを取られている状態。撃ってくる気配は無いが、完成に領空侵犯してる上に、自国領空と言い張る始末。良いだろう、やってやる。  ガチッ  スロットルを最大限手前に引くと同時にエアブレーキ展開。向こうに撃ってくる気配が無いから出来る。そのまま左バレルロール。  衝撃と共に、2機が至近距離を通過、オーバーシュートさせた。  ウェポン、短距離ミサイルー。  
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