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にしても・・・・・・。
左斜め後方にピッタリと貼り付いて飛行するフランカーを一瞥した。
「さっきからやけに寄り添ってくるな・・・」
ー何故?思い当たる節がない。
目指す先にランウェイライトの灯火が見えたのはほぼ同時だった。
「ーでは、よろしくお願いします。」
「お疲れ様でした」
降機チェックを終え、整備隊に機体を引き渡す。いつも以上に厳しめに機体を見回してみたが、特に以上は見られなかった。まぁ、噴煙に向けて突っ込んだわけでもない。雹に突っ込む方が遥かに厄介だ。
明日は一応非番だが、何故かあまり帰る気にならない。アイスの自販機真横のソファーに腰掛け、スマホを弄る。
「コーヒー、微糖と無糖のどっちが良いですか?」
不意に話し掛けられ顔を上げた。
「イルビス?」
両手に缶コーヒーを持って立っていた。
「いや、悪いって」
「いいですから。」
ウィスパーボイスで促される。
「・・・ありがとう。ブラック頂きます」
ブラックコーヒーを受け取る。
苦い。疲れが溜まった身体にコーヒーの苦味が染み渡る。これはこれで良い。
「ー失礼します」
斜め前のソファーにイルビスが座る。いつも思うが、全く疲労の色が見えない。薄暗い照明に照らされた白い髪の毛が、やけに綺麗に見える。
「ー」
しばしの沈黙の末、口を開いた。
「イルビス、あのさ、」
「はい?」
鮮血の色の瞳が俺を見つめる。少しドキッとしつつも、
「今日、なんか気を遣わせてしまってるけど、俺なんかした?」
一瞬キョトン顔になる。
「いえ、特にそういう訳では・・・・・・・・・」
「?」
気になる。
「ーその、なんと言ったら良いか分からないのですが、ソーンの事を実戦を経験した人だと思うと・・・」
「意識するとか?」
「ーはい。」
ああ、そういうー
「実戦経験者が凄く見える、ねぇ・・・・・・まぁ、気持ちはわかるわ。俺も配属してすぐはそうだったし。でもなー」
イルビスに向き直る。
「今回の追いかけっこ程度は今後全員経験するよ。ウチの基地は撃墜記録持ちも居る。」
「撃墜記録持ち・・・」
真剣な表情になる。やっぱり気になるか。
「まずレオ隊長。あの人はSu-24を3機撃墜してる。15飛行隊のリフター隊長もな。一番身近な人間だとクルィークな。」
「ークルィークが・・・?」
表情に驚きが見えた。先輩に対する尊敬の念も有るか。
「ーしかもアイツはエースパイロットだ。ツイてるんだよ。何かが」
「ツイてる・・・?」
「敵に接触出来る運ーだな。」
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