第1章 エンゲージ

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 周波数247.5、“サーベル”と呼んでいる周波数だ。この周波数は地上にも知らせていないため、モニターされることも無い。用途は駄弁り用。 『感度は?』 「良好」 『そういえば知ってるか?新人ちゃん来るってよ。しかも今日』 「我が隊に?急だな」  大概の組織なら新人が入る際に、ある程度前から通達が来るだろう。それもなくいきなり新人が来るとの事だった。 「観光感覚で来た変なヤツじゃないよな?この前来た自称・元F-16アグレッサーみたいのは要らないんだけど」 『それは・・・・・・・・・』  正直、何も期待してない。そもそも俺達が属するこの組織は・・・・・・・・・ 『何だ?』  クルィークが言うなり、自分もレーダーディスプレイに目を落とす。データリンクにより、新たなマップが表示されていた。進路は・・・現方位から5時方向。 『チャンネル“オペレーション”』  通常の周波数に戻す。予定に無いマップだ。 ≪ティガー、ディスイズ・アウゲ。現高度のまま、方位080。1アンノウン、リュクシア、ドルスタヤ半島方面から接近中、450ノット。RCS(レーダー反射断面積)からフランカーと思われる≫  AEW機、コールサイン“アウゲ”からの情報だった。 『フランカー?型式は?』 ≪Su-27。対領侵発令。お前らが行け≫ 『燃料微妙なんスけど。危険手当て追加で』 ≪はよ行け≫ 『・・・・・・・・・』  金銭交渉もそこそこに、対領侵任務に当たることになった。 『(・・・・・・チッ)』  クルィークが緩くバンクを取り、軽く操縦桿を引く。かなり緩めのGの旋回だ。その動きを見逃さず、素早く操縦桿を右に倒し、4.4Gをかけての旋回に入った。頭上から抑えつけられるようなような間隔に陥る。 クルィーク機に追随す る。 (・・・・・・・・・?)  HUDの高度指示が大きく低下した。    この降下率は・・・・・・・・・・・・。
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