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『そろそろ見えてくるハズだ。』
15秒前、この機の赤外線センサーが対象機体の熱を捉えた。目標は単機。雲の切れ間を飛行しているのか、度々ロストと探知を繰り返している。データリンクでは、確かに前方に居る。現在、6マイル(10.8キロ)前方。速度も450ノットまで減速している。
雲を抜け、白い視界が一瞬にして青に染まる。
『アンノウン・ビジュアル5マイル!戦闘機サイズ!』
クルィークが5マイルの距離で、彼我不明機を視認した。
距離を詰める。接近する毎に膨れ上がる輪郭。推力を絞り、速度を殺しながら並走する。
真横に灰色の大型制空戦闘機、Su-27。MiG-29を大型化したような姿だ。塗装は隣国、リュクシアのものと同じダークグレー単色。だが・・・
(・・・・・・・・・?)
『アンノウン、1フランカー、ナショナリティ・・・アンノウン』
国籍識別標識、ナンバーの類は一切無い。コイツは一体・・・・・・。
『ソーン、ロックしてるか?』
「ああ。いつでも撃てる」
不審機だ。コイツ・・・なんなんだ。
「・・・・・・警告するか?」
『勿論。しっかり見張っとけよ?』
「ああ。」
『あー、アテンション!アテンション!ユア・アプローチング、レイヴェン・テリトリアル・エアスペース!チェンジ・ベクター090!アイセイアゲイン!(警告、貴機はレイヴェン領空へ接近中。方位090へ転針しろ。繰り返す・・・)』
≪アテンション!アテンション!ユア・アプローチング・・・≫
ー気付いてないか・・・・・・今この状況で、アナタ達の後ろに居る事。
「教えてあげる・・・」
スロットルを限界まで押し込んだ。
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