第1章 エンゲージ

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≪ティガー01、対象機から誘導に従う意思は感じられるか?≫ 『全然』  クルィークが呆れたように返す。最も、相手が戦闘機なら大人しく従わなくても別に驚きは・・・・・・  ピリリリリリリリリリッ!!!! 「ロックオンされた!?どこや!!」 『おい、まさか・・・・・・!!』  思い切り首を回し、振り返る。 「『!!!!』」  ーなんだ・・・「お前」はー 『ブレイク!!』 「うおりゃぁあッ!!」  クルィーク機が叫ぶや否や、右方向に急旋回に入る。俺も即座に左へ切った。反射的にフレアを放出する。  バババババババッ!!   それぞれ反対方向に急旋回したMiG-29が、熱源欺瞞用の焔を撒いた。航跡上に熱のカーテンが敷かれる。  加圧9G・・・体重×9倍の圧力が頭上から押さえ付けて来る。ー視界が・・・失われてくる・・・。  SIDE “クルィーク”  頭上から押さえ付ける圧の中、今さっき見た最悪の光景が一瞬甦った。振り返った先、視界に焼き付いた「ソレ」はあまりにも禍々しかった。ー太い機首、2枚の垂直尾翼、大型の主翼・・・・・・  「・・・フランカー!!」  俺達が要撃に向かって、さっきまで無線警告してたヤツと同じ機種だ。だが、なら何故、 「ー何処に隠れてやがった・・・!?」  早期警戒機のレーダーに映らない訳がない。ステルス機とは違う。そもそもさっき警告した相手は!? 「おい!さっき警告したヤツ何処に行った!?」 『ティガー01、アンノウン1は空域から離脱しようとしている。後方のソイツを!!』  AEW機のクルー、警戒管制官が上擦った声で叫ぶように伝えてくる。・・・何も知らないのかコイツ・・・。 (だよな・・・)  ピリリリリリリリリリッ  アラームが鳴り止まない。このMiG-29は、開発国の旧連邦時代、最強の運動性能を誇った。そして今でも・・・ 「・・・相当な機動性だな・・・コイツもしや・・!」 ≪ティガー01!!ソイツのレーダー波解析!!Su-35だ!!≫  ざっけんなよ・・・・・・  Su-35S・・・通称、フランカーE。Su-27をベースに再設計し直したフランカー・シリーズ最強の進化形。推力偏向ノズルや、最新鋭コンピューターの搭載により、非ステルスとしては世界最強の部類に入る。早い話がー 「最悪の相手じゃねぇかよ!!」    
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