私が死んだ日

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高校二年の夏休みがはじまった。 忙しい両親は夜帰ることもなく、働き詰めだった。そんな親を助けたいと私も高校へ入ると近所の弁当屋でアルバイトを始めた。 帰ってこない親、二日も音沙汰もなくても慣れっこになっていた私は、三日目の朝、何事もなく弁当屋へとアルバイトに向かった。 携帯電話なんか持ってなかった。別にそんなに必要じゃなかったし、学校に行っても、別に干渉されることなんかなかった。 仲のいい、親子だった。そう思っていた。 「ただいま」 ドアが開いていた、誰かが帰ってきていると思って、そのまま家に上がった。 「お母さん?」 「オー帰ってきたか」 「誰?」 スーツ姿の三十代ぐらいの男、煙草を咥えながら隣の部屋から出てきた。 土足、誰こいつ? 「ど、どちら様ですか?」 「南あいりちゃん?」 怖くなって、外へ出ようとした。 「はーい、出ちゃだめよ」 もう一人入ってきた。そのままキッチンの奥へと追いつめられる。 「何なんですか」 「さて、何なんでしょう」 行き場がなくなった、どうしよう。 「大声出しますよ!」 「いいよー、でもね、君にはおねんねしてもらうから」 息を大きく吸こんだ。 シュッ 「はい、そのままね」 顔に何かを拭き付けられた。大きく息を吸ったから口の中が苦い。 体の力が抜ける。足が・・・立って・・・いられ・・・ない。 「さてと、行きますか」 「カギ閉めろよ」 「わかってるって」 声だけは聞こえた、でもその後がわからなかった。
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