私が死んだ日

3/18
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
目が覚めた。 真っ暗、と言うか、なんか狭い.体が動かない。 口にガムテープ?なんだろ貼られているのはわかる。 手も指も体も動かない、かろうじて首が少し動く。 顔に当たる布の感じ、布団?クッションだろうか、やわらかいものに寝ているのがわかる。 腰を動かすが、やわらかいものの上で、何にもならない。 息苦しい。 カーン 般若― お経?お線香みたいな匂いがする。 目が慣れてきた。 まさか、棺? カーン 何か話し声が聞こえる。耳を澄ませる。 「それでは最後のお別れです、皆様、花をどうぞ手向けて差し上げて下さい」 目の前が明るくなった。 男の顔が近づく、ぼやけて見えないがなんとなくわかる。 「もう少し眠っていてくれ」 シュッ また何かをかけられた、目が重い、そのまま暗闇になった。 「あいり―」「南―」 みんなの声がする、泣いてる? 意識が遠ざかる。 私、今日死にました。 終わったか はい、これで最後です 会長は 大丈夫です。 下がっていいぞ 失礼します。 男の人たちの声が聞こえる。声だけで、目が開かない。 電話の音? 「おう、ん、そうか、首尾は、わかった」 「さて、そろそろかな」 体に何かが触れ、びくっと反応した。 「起きてるのか?」 体は動く、だけど、目が見えない、目は開いているような気がする。 「起きてるのか!」 びっくっとして頷いた。 そうかと聞こえると体が起きた。 あったかい人の手で抱き起されたのがわかる。 ピリピリと体から何かがはがれるような音 ビッ 口の周りがヒリヒリして痛い、そう、何か貼ってあるものが外された。 「目、目が・・・」 「目?見えねえのか?」 頷いた、声もかすれて出にくい。 「薬が効きすぎたか、目閉じてろ、光が入りすぎて気分悪くなるぞ」 感覚がおかしい、でも目を閉じた。 「そうだ、そのまんまな」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!