真夜中の社畜

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慌ててスリープモードになっているパソコンを起動する。 「えっ?」 デスクトップの真ん中に、これ見よがしに『プレゼン原稿』と名前のつけられてるフォルダを見つけ、香織は恐る恐るクリックしてみる。 「うっそ、できてる。なんで?」 眠っている間に仕事をしたとか、あり得ない。 しかも、その原稿は、緻密かつ、理路整然とまとめてあり、とても自分が作成したとは思えなかった。 結局のところ、その日は、台風による交通機関の麻痺により、会社に来れない者が続出し、企画会議は行われなかったが、日を改めて行われた会議では、彼女のプレゼンは大絶賛された。 それが災いしてか、彼女の仕事量はさらに増して行った。 真夜中、彼女は、ぼーっとパソコンの青い画面を見つめる。 「私、何やってんだろ。」 途方にくれた。 前任者の、高田主任が突然死し、その業務を受け継いだ時からこんな予感はしていた。 高田さんは、いつもこんな辛い仕事をしていたのか。 焦りと反比例して、瞼が降りてきてしまう。 このままでは、私も・・・。 その時、社内に火災報知器のけたたましい音が鳴り響いた。 「え?火事?」     
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