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そこから原田の詳しいシステム解説が始まる。まだ20才になったばかりでよくもまあこんなに知っているものだ。いや、これが「普通の大学生」というやつなんだろうか。
その先ははどんなプレイをしただの、うちの女性スタッフの誰々はもうヤってる、だのの話を、時折やってくる客に遮られながら続けていた。
「あ、もうこんな時間やん。じゃあオレ帰るわ。」
「おぅっす。お疲れ様でーす」
相沢さんが店を出ていった瞬間、それまでの男くさい熱気が一気に冷めていく。
「やー相沢さんシフト終わってからの雑談が長いっすわ。」
「そうだよねぇ」
相槌を返して原田の顔を見る。
ギク。
原田の目は妙に冷ややかだった。それは面倒くさい先輩が帰ったから、というわけではないだろう。その目は僕に向けられたものだ。
「なんつーか、宗岡さんがこの手の話にノッてくるって意外っしたわ」
直球
「えー、そう?僕下ネタ大好きよ?」
精一杯のファンキーな作り笑顔を返してやる。
「へー、それも意外。」
そういって原田はDVDケースの山を抱えた。ノシノシと返却作業にむかう彼の小さな背中を見送って、ふぅ、とため息をつく。
(モテない男がエロ話に無理やりついてくるの、痛いっすよ)
原田の言葉を翻訳するとこういうことなんだろうな。
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