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ある日のこと。
雫は泣きながら部屋に入って来た。
こんなこと、
今まで一度もなかったからワタシは驚いた。
そして雫は机に雪崩れ込み泣き崩れた。
ワタシはすごく不安になり、嫌な予感もし始めた。
すると雫が突然ワタシを掴み、左手首にワタシの身体を当てた。
「もう、終わらせよ……さよなら」
ダメ!!
それだけは絶対ダメだから!
雫の震えがワタシの身体を通して伝わってくる。
雫、お願い……
幸い、雫は思い留まり手首からワタシを離した。
少し安心したのも束の間
目の前が一瞬、真っ暗になった。
雫の髪だ。
雫の黒い艶のある長い髪が、目の前に迫っていた。
バサ……
雫は机に突っ伏したままむせび泣いた。
ワタシも付き合ってあげる……
この夜、雫の涙が枯れることはなかった。
あれから一年後。
雫はすっかり立ち直り、新しい恋を始めたみたい。
あの日から雫は髪型をボブヘアーに変えた。
とても似合ってる。
よかったね、雫。
ひとつだけ、ワタシからのお願い。
雫、その赤い糸だけはワタシに切らせないでね。
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