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私はあの日みぃちゃんが置いていったお菓子を手に取ってそれを眺めた。あの日は結局食べられなかったんだっけ。あとで調べたら1箱5000円もするらしい。みぃちゃんはなぜ、そんなお菓子を買ったのだろう。ただ私と食べたいから?それだけだったのだろうか。
包み紙を剥くとふっくらとしたマドレーヌが顔を出す。それを口の中に運ぶ。しかし、せっかくの高級菓子なのに、全然味がしない。パサついて、のどに引っかかる。甘いどころか少ししょっぱいような気さえする。あの日一緒に食べていたら、もっと別の味がしたんだろうか。
モニターの向こうでは依然として大人たちが言い争いを繰り広げている。なぜ裸で死んだのか、教師は彼女に何をしたのか、父親に対する報復とも考えられないか。
テレビの中の芸能人たちも、ネットの中の匿名のコメンテーターたちも、真相には辿りつけていない。
犯人は私だ。
私が九石魅姫を殺したのだ。
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