余談 教育は様々

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余談 教育は様々

 ナタリアの言う所によれば、オペラ伯爵の教育は苛烈を極めたという。  基礎体力の訓練に始め、地理や人の暗記、様々な国の歴史と裏の歴史、行者としての技の訓練、兵法から武器、暗器の知識、使い方、毒と薬の用法と容量、作り方、気配の消し方から変装の仕方、尾行のやり方、経済の仕組み、政治の内容、社交の礼儀、舞踏、歌、演奏、演技……一国の王でもそこまでは手が回らないという程の内容を詰め込まれ、大体が一般的に働きに出る十二歳か十三歳で実践に投入されたという。  知識の深度はナタリアが一番であるが、技の冴えで言えばヴァベラニア王国に来ている中ではカレンが一番。ニシナは諜報役として最優良で、ソルテスは武器や暗器の手入れから使い方が一番うまいという。 「ちなみに、シャイア様。あの城壁なんですが」  ナタリアがサロンの窓から見える王宮の城壁を指差す。 「うん? あれねぇ、平和な割に立派でしょう? 数代前の王が造ったらしいんだけど、必要だったのかなぁと不思議になるよ。あれがあれば首都まで攻め入られても籠城戦が出来ると私は踏んでいるんだけれど」     
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