1人が本棚に入れています
本棚に追加
「? 良いのですか?」
「もちろん。致死量で構わないよ。お腹を下すのは万が一があると嫌だからやめて欲しいけど……」
死ぬより下す方が嫌なのか、とは思えどナタリアは黙っていた。
「まぁ、ものは試しさ」
ナタリアは不思議に思いながらも、シャイアが当然のように言うので、一つこの遊戯に乗る事にした。
明くる日から、ナタリアは(主にローザや行者じゃ無い者の)隙を見て王の紅茶に毒を盛る事にした。
本当に死んでしまっては困るので、麻痺して動けなくなる神経毒や、体力を弱らせる毒などをまずは少量、紅茶の中に紛れさせてみる。
「うん、神経毒だね。蛇から採ったのかな? 無味無臭なのがいいよね」
「毒草は苦味があるよねぇ。もう少しナタリアが紅茶を淹れるのが下手だったら分からなかったかもしれないけど、あからさまだ」
シャイアはその悉くを見破っては全て飲み干しけろりとしている。
面白くなって一族秘伝の技を使って作り上げた麻薬や、先の毒草を無味無臭にした粉末、灯り油に溶かして使う自白剤を使ってみるが、何の効果も得られないどころか、全て看破される。
「お見事ですわ、シャイア様」
「だろう? つまり、こういう教育だったのさ」
最初のコメントを投稿しよう!