月見の祈り、再会の約束。

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俺達は似たような病気を持って生まれてきた。 因みに彼奴とは同い年で今年18になる。 故に小さい頃から病院で検査やら入院生活やらで何度も顔を会わせていたし、親達も子供が同じ境遇で話が合うのかよく面会時間中に席を外して親達だけで話をしていた。 そうなったらまぁ、互いに暇な訳でこいつとはよく一緒に遊んだり話したりしていた。 仲良くはしてるが、それだけだ。 俺にとってはただの友人、それ以上の感情はない。 あるわけない、意味がない。 こいつも妙にじゃれついてくるが、俺と同じだろう。 そんな日々を繰り返し、何度目かもわからない入院が決まり、いつもの病室とは違う部屋に案内され、不思議に思いながらもベッドで休んでいたらこれだ。 目を覚ました時、満面の笑みを浮かべた少女の顔が目の前にあり、ついに脳がやられたのかと思った。 幸いと言うべきか不幸と言うべきか脳は正常だ。 異常なのはどう考えてもこいつ本体だ。 何故そこまで顔を近づける、いつからそうしてた、何でここにいる?  ほら、一番聞かなければいけないことが最後になるくらいにこいつはおかしい。 俺はまだ正常だ。
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