1人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・こいつは気付いてるのだろうか?
俺達がもうすぐ死ぬということに・・・。
医者に言われた訳じゃない、この状況を作られた時点で大体分かる。
俺達はもう長くは生きられないのだろう。
医者や両親達はそれなら少しでも気を紛わらせるよう俺達を一緒の病室にしたのだろう。
本当に余計な事を、俺は別に死ぬ事に恐怖はない。
生まれた時からわかっていた事だ。覚悟は出来てる。
なのに・・・・。
「あ、そうだそうだ!今日面白い本を見つけてね!」
何でだ・・・?
「占いの本なんだけど、すごく当たっててさぁ~。」
なんで、、俺は・・・。
「おまじないなんかも載ってて、もうすっかり読みふけっちゃってね?」
こいつの笑顔を見るとこんなにも・・・。
「あれ、刀夜?」
胸が締め付けられるような・・・。
「・・・・。」
いや胸を解かれるような・・・・ん??
「いや、何してんのお前!?」
俺が胸を押さえていると彼奴は何時の間にか俺のベッドまで近づき俺の病衣を脱がそうとしていた。いや、本当何してんの!?
「刀夜が無視するからでしょ?」
「だからって何故脱がそうとする!?そこまでして俺の裸が見たいのか!?」
「あはは違う違う、ある程度脱がせたらナースコール押そうかと・・・。」
「まだ諦めてなかったのかそれ!?本当申し訳ないからやめろ!ちゃんと聞くから!」
「もう、ホントだね?次は無いよ?」
怖いなおい。そんなに俺に変態の汚名をきさせたいのか。
しかし、さっきの感覚は一体・・・?
その後、彼奴が気のすむまで適当に話をしていると、
急に彼奴の声が途絶えた。
寝たのか?と視線だけ向けると違ったらしい。
彼奴は俺達のベッドの間にある窓を見つめていた。
一体何を、と俺も窓の外を見るとーーーー。
雲一つない星の綺麗な夜空、その中でも見事に夜空の主役をつとめる美しい満月に俺は言葉を失った。
最初のコメントを投稿しよう!