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あぁ、やっぱり彼奴のせいだったな。
俺の心を簡単に掻き回しやがった。
ずっと昔に抑え込んでいた心を・・・。
『月見の祈り』・・・ねぇ。
全く、何がオリジナルだよ。自分の名前にこじつけただけじゃないのか?
お前らしいけどな。ハハッ・・・。
そういえば、俺達のお祈りの内容なんだが、あ
れってお祈りというよりも・・・。
・・・まぁいいか。うん、それもお前らしい。
お前は昔からそうだよな、純粋というか単純というか・・・。
かと思えば突然とんでもない事を平気でするは、俺をからかいまくるわ好き放題しやがって・・・。
ほんと・・・好き放題しやがって。
せっかく・・・我慢してたのに・・・ッツ!
グスッ・・・アグッ、ヒック。
悪い、・・・。もう、大丈夫だ。
あぁ、大丈夫。もうすぐだから・・・。
今日も綺麗な月が出てるな・・・。
俺が祈るなんてあれが最初で最後だからな・・。
・・・頼むぜ、・・・お月様よ・・・。
今・・・行くぞ・・・待ってろよ。
・・・・・・『月美』。
薬の匂いが漂う病室の中、二人だけだった病室の中、
空になったベッドを見つめながら、俺は赤く腫れ上がった目をゆっくりと閉じた。
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