『偉大なバナナ』

1/1
前へ
/159ページ
次へ

『偉大なバナナ』

「嘘か、真実か」 子供向きの本のカバーに書かれた煽り文句に興味を魅かれた。 世間で出回っている常識とされていることが「ウソか、ホントか」を、項目ごとに見開きで解説した翻訳図鑑である。 その一つに「人間に一番近い遺伝子を持つのはチンパンジーである」という項目があった。 「そのぐらいは知っている」と思いつつもページを開く。 制服を着た「チンパンジー」の絵の上に「一致度96%」と記されている。 だが、何やら違和感がある。 右端には制服を着た「バナナ」の絵があったのだ。 「一致度50%」 ――人間がたいしたことがないのか。バナナが偉大なのか。 考えてみれば、バナナと言えども、バクテリアのような物から見れば随分と進化しているわけで、かけ離れているはずはないのだが、さすがに、この数値には驚いた。 ちなみに、真ん中に制服を着た魚がいたと思うが、その数値は全く頭に残っていない。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加