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かちり、
細工物の小箱の蓋が開けられた。
女性の手のひらに収まりきるくらいの小さなそれから、ゆっくりと、小さな音が流れ出る。
まるでさざ波のようだ。
そう印象づけて、しばらくその旋律に耳を傾ける。
音のひとつひとつが、体中に染み渡る。その身を護るチカラとなる。
髪の一本一本、足の爪先まで音が行き渡ったと同時に、音は次第にゆっくりになってゆき、
かちり、
そして止まった。
ぱたん、と音をたてて蓋が閉じられる。
完全に沈黙した小箱を青いジーンズの後ろのポケットに押し込めて、一歩を踏み出し、跳躍して、
はじっこのせかいに、ひとりの少女が降り立った。
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プロローグ。ひとつの世界の救済の、これが始まり。
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