第1章 始まり

4/5
前へ
/35ページ
次へ
朝の目覚ましが鳴り、俺は目が覚める。 ベッドから体を起こし、カーテンを開けると雲ひとつない青空が広がっており、太陽の日差しが気持ちよかった。こんな情報を聞いた事がある。日差しを浴びるとお休みホルモンである「メラトニン」の分泌が抑えられ、12~14時間後に再び分泌されるようになるので、朝のスタートが段違いになるのだとか。実際に日光を浴びた時と浴びてない時では何となく気分が違う事を感じていた。そこに朝の運動(少し息が上がるぐらい)が加わると、その後の集中力が2~3時間は保たれるという情報を得、俺は朝の日光浴と運動は習慣になっていた。 朝の運動から帰ってきた俺は、シャワーを浴びて汗を洗い流し、制服に着替える。新品の制服を身に纏い、今日から高校生活が始まるという楽しみと不安が混ざった何ともいえないドキドキ感を感じながらも、しっかり身だしなみをチェックし、頬をパンパンと自分の両手で少し強めに叩き、気合いを入れてから家を出た。 通学路を歩きながら、自分の思い描けてる高校生活を妄想していた。 しかし高校生活といっても、ただの高校生活ではない。他の高校と決定的に違うのは勉強科目だ。高校生で学ぶ科目は、国語、数学、英語、歴史、地理といったのを思い浮かべるだろう。 ただ、俺の通う高校で学ぶのは、 「栄養学」ただ一つ。 理由はまだ入学してない俺には分からないが、元々栄養学に多少興味はあったから、軽い気持ちでこの高校を選んだ感じだ。とはいえ、俺は中学の頃から国語も数学も英語も苦手だったから、興味のある栄養学だけを学べばいいだなんて、今まで苦手意識が高かった勉強が楽しくなるのでは?と心の中で問いかけ浮かれている自分がいた。ニヤけ顔になってる自分が恥ずかしくなり慌てて顔を戻す。 家から歩いて20分程で学校が見えてきた。学校に近づくにつれ、俺と同じ学校の制服の人達が登校してるのを見かけるようになってきた。建物の見た目は一見どこにでもありそうな普通の学校であった。強いて言うならば、学校の割には新築したばかりの奇麗さがある。汚れもよく見ないと分からないぐらい程で、外見の清潔面でいえば満点を上げても良いほどだ。そして正門の前に辿り着いた俺は、学校の名前を確認した後、校舎に向けて一言放つ。 「よろしく頼むぜ、高度栄養育成学園!」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加