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第2章 クラスメイト
ドアを開けると、既に少数の生徒がいた。仲良さそうに話している数人の集団や、眠いのか俯いて寝ている者や、読書をしている生徒もいる。ドアを開けた時の音で教室の中にいた生徒達は、寝ている男子生徒以外一斉に一瞬だけ俺の方を向く。
「(うっ、頼むからこっち見ないでー)」と、苦笑いしながら心の中で呟く。
とりあえず俺は黒板の前に貼られている座席表を見て、自分の席を探す。
「えーっと、俺の席は...っと」人差し指でなぞるように下にスライドさせながら自分の座席を探し、そして自分の席を見つけた。
場所は窓側で一番後ろの端っこである。自分の中では理想的な場所であったのでかなり嬉しい。というのも、慣れていない環境で一番前というのは居心地はあまり良くないし、何より注目を浴びやすい。教卓の目の前だと、先生に指されやすい確率も高いだろうからとにかく嫌。そう考えると高校生活いいスタートをきったのではないだろうか。
俺は席に座り、特にやる事ないので教室の中を見渡す。教室の中は主に前と後ろに黒板、先生が座る用の席一つ、後ろには生徒用のロッカー、といったごく普通の教室だ。あとは生徒一人一人に木材で出来た机と椅子があるだけの、よく見る普通の学校だ。
教室を見終わった俺は、次に教室の中にいる生徒を見る。
「(知り合い誰もいねー)」と嘆く。人見知りな俺は積極的に声をかけるのは苦手で、基本的に相手から来るのを待つって感じの性格だ。一回話せば次は自分から挨拶程度は出来るようになるが、それまでは厳しい。現状、知り合いがおらず、話しかけてくれる感じはない。仲良さそうに話しをしてる組は2人の女子だが、女子同士って初めての人でもすぐに仲良くなってるイメージがある。女子は基本集団でいたがる生き物であるうえ、現時点教室の中には女子はその話しをしている者以外見当たらない。つまりは話しかけれるのがその相手しかいないという事。
さて肝心の男子を見てみると、7人いるが読書、寝てる、携帯いじりに集中してる者しかいない。俺と同じ人見知りなのか他の人と話す気配はなさそうだ。勇気を出して自分から話しかけて見ようと試みるもブレーキがかかってしまう。
「(これはぼっちの可能性出てきたな」)と苦笑い。明るい未来が暗い未来に流れていこうとしてる。 まるで雨雲が太陽を隠すように。そんな雨雲を払い除けてくれる人物が現れる事を、この時まだ俺は知らない。
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