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「いやいや。母さんがおきたら、本当にしかられるから」
のどがかわいて、また、れいぞうこから麦茶ポットをとり出した。麦茶をコップについでのむ。
「そっかぁ。しかられたらヤダもんね。ああ、でも楽しかったぁ」
と、七海はわらった。えみがもどった。
「七海も、麦茶のむか?」
「えぇと。じゃぁね、七海も、ちょっとだけ」
七海は、自分がいつもつかってるコップを出して来た。麦茶を半分ぐらいついでやると、おいしそうにのみほした。
「それじゃ、兄ちゃんはもうねるから」
れいぞうこに麦茶ポットをもどして、ながしに自分がつかったものと七海のコップをおいた。
台所のあかりをけし、自分の部屋の前まで行った。戸をあける。
「おやすみ」
「うん。お兄ちゃんおやすみ」
ついてきていた七海は、小さく手をふって、おくの部屋に歩いて行った。
朝。
朝ごはんなのに、七海がテーブルについていない。
「母さん。七海はまだねているの?」
やっぱりあそびつかれたのかな、と思いながら聞いてみた。
「やだ。ナナちゃんは、月ちゃんのところにとまっているでしょう? 朝ごはんを食べたらつれて来るって、言ってたよ」
「えっ」
七海が、まだ月ネェのとこにいる? だって、ぼく、夜中に七海とおにごっこをしてあそんだんだけど。
「ねぼけてるの? しっかりしてよ、直太お兄ちゃん。夜中も、ナナちゃんのコップで麦茶をのんだでしょ?」
と、母さんがわらった。
「そういえば、ナナちゃんもねぼけてたみたい。気になって、朝早く電話をかけたらね、夜中にお兄ちゃんとおにごっこをしたからぜんぜんさみしくなかったよ、なんて言っていたの」
思い出したのか、母さんがふき出した。
「やっぱり、兄妹ね。そろって、ねぼけているんだから」
母さんは楽しそうに言った。
ぼくはなんだかわからなくなって、こわくなって。だまって、ごはんを食べた。
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