白夜

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白夜

つむじの上に広がる空は今夜も白い 一年前の今夜も、二年前の夕げも、やはり空は白かった 私が生まれてくるほんの少し前からこの星では暗い夜がやってこなくなった ずっと白いのだ、ずっと白くて明るいのだ こういう風に言うとまるで朗らかで健やかなときが一日中続いてるいるように聞こえるかも知れないが、実際に日昼夜の区別がないということはそれ自体を知らない世代にもあまり自然な事ではない 白くて陽射しのない朝の中でトーストとハムエッグを食べ、白くて陽射しのない昼の中でオムライス弁当を食し、白くて陽射しのない夜の中で煮魚と味噌汁などを摂る ただひたすらに白い色が続く情景 昔の人は朝焼けの中で朝食を摂り、降りそそぐ陽光の下で昼食に勤しみ、薄暗い夜を照らすちょうちんの下で夕食を頂いたのだろう それはなんと贅沢ななないろの時であることか まぶたに蓋をして、絵本で見たうすぼんやりとした太陽の明るさを空想する カセットコンロのボンベが出す炎のような色だと聞いたことがある 去年いなくなったおじいさんが言っていた     
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