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ヤツらが初めて地上に現れたのは十年前のことだ。
世界各地の火山で微振動が観測され、警報が発令された。それは火山活動の前兆かと思われた。しかし、火口からは予想もしないものが現れたのだ。
岩石の甲羅を身にまとい溶岩に似た肉体を持つケイ素系生物。体長約十メートルのカニとダニを掛け合わせたような姿をした怪物の群れが雪崩をうって溢れ出し、街を蹂躙した。全身から無数に生えた鋭利な触手を振り回す灼熱の魔物。
それは『サラマンダー』と名付けられた。
以来、ヤツらは毎年温暖化による暑い夏が来るたびに火山から押し寄せてくるようになった。
最初の数年間、人類はサラマンダーの侵攻を留める手段を持たなかった。サラマンダーは街を焼き、人を襲い、森を舐め尽くすと、自らの身体の熱が冷める前に火口へと戻っていった。
そんな中で海中まで暴走したり、台風や豪雨などに遭遇したりして冷えて固まり、石になった個体の研究が進められた。その結果、頭部と思われるところに神経中枢らしきものがあることが分かった。
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