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〈アシュラ、いつもいい格好はさせないからね。今日こそはボクがもらうよ〉
隊の紅一点、ガンダルヴァの声が聞こえると同時に青白いレーザーが走った。
腕は悪くないが焦りすぎる。若いのだ。レーザーはひときわ大きいサラマンダーをかすめて護衛の一体を打ち倒した。周りのサラマンダーの動きが激しくなり、リーダーの守備陣形を整えていく。ギリメカラ隊までの距離はあと三キロメートル。リーダーを殺し、時速八十キロで突進する群れの機能を低下させるにはあとワンチャンスだろう。
あと二キロメートル、ギリメカラ隊の陣形を確認するためにリーダーのサラマンダーが守備陣形から一瞬だけ突出した。
俺はそっと操縦桿のスイッチを押し込む。
青白いレーザー光が走り、リーダーの頭部を射抜く。リーダーは群れに沈んだ。
〈ちっ、またアシュラかよ〉
〈おめえ酒飲まねえだろうがよ〉
隊員たちの喚き声が届く。知ったことか。
ここで普通の機甲猟兵隊の任務は終了する。仕事があったとしても、ギリメカラ隊の包囲殲滅を逃れたはぐれ個体の掃討だ。しかし、俺たち第104小隊は違う。華奢なドゥルガーの機体を躍らせて乱戦に突入するのだ。そんな無茶をするのはこの小隊だけだ。
第104小隊、またの名を『八部衆』のパーティーが始まった。
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