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 銀色に輝くドゥルガーの装甲のあちこちが焼け焦げていた。  コクピットからシートごとリフトで降りる俺に向かって、若い整備員が溜息をつきながら言った。 「あんまり乱暴に扱わないでくださいよ。ドゥルガーはギリメカラと違って繊細なんですから」  整備員の表情には諦めの色があった。言ったところで聞いてもらえないのは分かっているのだ。 「まったく『八部衆』のドゥルガーは貴重な初期ロットなんですからね」  俺は右手を挙げてひらひらと振って応じた。  リフトが地上に着くと、彼は俺をシートから抱き上げると、車椅子に座らせた。  過去の激しい戦闘のため、俺の両足は膝から下がない。左腕も肩から先が失われている。サイバネティックス義肢の発達で、失う前以上の動作ができるものが簡単に手に入るが、俺はどれだけ勧められようが使うつもりはない。  失われたものは、失われたものなのだ。代用品なんてない。  その代わり、俺のドゥルガーには欠損した部分を補うチューンを施してある。さらに狙撃精度をギリギリまでアップさせるために、左眼は自ら望んで摘出してもらったのだ。
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