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ミケコさんを抱えて、母屋から出たら、だいぶ陽が落ちてきていた。
裏山からヒグラシの鳴き声が聞こえてくる。もうすぐ、夏も終わる。
「ミケコさん、聞こえる? 蝉が鳴いてるよ。カナカナカナって」
私はバスタオルでくるまれた我が家の愛猫に声をかけた。
昔、よくミケコさんは蝉を咥えては持って帰ってきていた。
狩人なのだろう。
蝉、カブトムシ、蛾などたくさんの戦利品がうちの家の中に持ち込まれた。
カラスと戦って傷だらけになったこともある。
一度、蛇を持って帰ってきたときは、家族中がパニックになったっけ。
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