Siと言うまで帰さない

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「彼を誘った」 「は? あのシェフ? マジか」  ミケーレがにやりと面白そうに笑う。 「日本人?」 「ああ。ラ・ロッソのシェフ見習いだと」 「へえ。もう口説いて来たのか?」 「さあ?」  どちらでもいいのだ。    顔が好みだったから退屈しのぎに声を掛けただけだ。  誘われ慣れているようだった。  軽く目を瞬いたけれど、さほど驚いてもいなかった。  リカルドは黒い瞳を思い出しながらワインを飲みほした。
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