Siと言うまで帰さない

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 もし強引に迫ってくるようならそれも一興と思っていたが、リカルドは鷹揚な態度を崩さなかった。 「なるほど。では君を我々のパーティに招待しよう」 「パーティ?」 「そう。お互いもう少し知り合おう。心配しなくてもいかがわしいものじゃない」 「べつにいかがわしくても構わないのに」  いや、むしろその方がお互いよく知れると思うけど。  加賀美の心の声が聞こえたみたいにリカルドがさわやかに微笑む。 「おや、嬉しいね。じゃあそれにも招待しようか」  会話しながらシャツの上から互いを愛撫し合って、焦らしあう。  リカルドが焦らされても楽しんでいるのがわかる。  その余裕を崩してやりたい。  背中をすこし引き寄せ、腰をぴったり合わせて揺らめかせた。まださほど反応していなかった場所が触れあって、リカルドの背筋が緊張したのが手のひらに伝わった。 「本当にしない?」 「今日のところはね。お楽しみは取っておくタイプなんです」 「僕は出された料理はすぐに頂きたいほうなんだけど」 「今日の天ぷらみたいに?」  意外にせっかちなんだろうか。それも楽しい。  加賀美の問いに「そうだよ、熱々の天ぷらは最高だった」と囁きが返る。 「でも肉でもワインでも熟成させたら、もっとおいしくなるでしょう?」 「獲りたての魚やフルーツだってうまいだろ?」  そのねだり方がかわいくて加賀美は声を上げて笑った。
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