Siと言うまで帰さない

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「ガキと女に興味はない」 「やっぱり男のほうがいいのか?」 「今さら訊くのか」 「いや、それならあそこはどうだ?」 「…やめておく。利害関係があるのは面倒だ」  ミケーレが指した先には、数人の美しい男たちが立って談笑している。  家柄も容姿も申し分ない。中には過去、何度か寝た男たちもいる。  その場限りで終わった者もいれば、短い間の恋人ごっこをした者もいた。  どうしようか…と眺めてみたものの、いずれにしても興が乗らない。  でもまったく違うタイプの相手がいれば、この退屈な日常も少しは変わるだろうか…。  会場を見るともなく視線を巡らせていたリカルドはふと、キッチンカウンターの向こうに立つ男と目が合った。まっすぐに目が合って、彼ははっとしたように目を瞬いた。  西洋料理のシェフ達とは違う白い上着に短い帽子。  ひどく整った顔立ちの男だった。端正な顔をした黒い瞳に短い黒髪のオリエンタルビューティだ。  彼は目をそらさずにほんの少し口角を上げて微笑んだ。  その表情が気を引いた。 「なあミケーレ。彼、どう思う?」 「は? あのシェフか? ……きれいな顔だな」  言外にお前好みだと言われ苦笑した。
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