11.両思い

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「あ、えと。ちゃんと聞いたことなかったし。」 「ははっ!じゃあ咲結は?」 「私は、大工さんしてる朔也くんに会って、お仕事に一生懸命な姿見て、私が大変な時助けてくれて…だんだんと…」 「………。じゃあ俺のが先だな!」 「…………えっ!?」 「いつか教えてやるよ!」 「それなら今…」 「ひみつ~!」 そう言うと、彼は姿勢を低くして、覗き込むようにそっと私にキスをした。 私は恥ずかしくなって、そのまま俯く。 「咲結、これからもよろしくな!」 その声色から、朔也くんが子どものように笑っている顔が目に浮かんだ。 「こちらこそ…」 私は、きゅっと彼の手を握り返した。 朔也くんとの2度目のキス。 そして、彼氏とのファーストキス。 それは、心がくすぐったくて、暖かくて、とても幸せな気持ちになるものだった。
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