11.両思い

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放課後。 担任から、例の不審者が隣町で逮捕されたと話しがあった。 40代、無職の男性だったとか。 私と朔也くんは、ハナミズキ通りを並んで歩く。 「咲結は今日もバイト?」 「そうだよ!朔也くんも?」 「もちろん。帰り何時?迎えいく。」 「不審者つかまったし、大丈夫だよー。遠回りでしょ?あっ。」 「なに?」 「朔也くんのおうちは、どこ?」 「あー知らなかったっけ?月野町。」 「けっこう近いんだね。」 「そうそう、てか通り道だし。チャリ、現場にあるからさ。迎えいくよ。」 「うん、それなら!ありがとう!」 学校からの帰り道、すれ違う女の子の大半は、朔也くんに熱い視線を送っていた。 学校内ではきっと、私と朔也くんの交際のニュースと共に、佐々木くるみ事件のことも知れ渡っているのだろう。 視線は感じるけれど、よくドラマで見るような陰口はもちろん、嫌がらせのようなことをされることは一切なかった。 だけど、今でも不思議に思う。 私よりも美人な子も、いい子も、たくさんいるのに。 朔也くんなら、選び放題だろうに。 どうして私なんだろう。 たまたま、私がお客さんだったから…? それならもし、違う子がお客さんだったら…? 自信がなくなってくる。 朔也くんは大きな手で私の手をやさしく握りながら、鼻歌を歌っている。 この歌は…あっ。大ヒットした映画に使われていたバンドの歌だ。 「その曲、好きなの?」 「あーうん、映画見て、好きになった。咲結、みた?」 …。 「咲結?」 「朔也くん、どうして私のこと好きになってくれたの?」 「…は?」 彼は目を丸くして私を見た。
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