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─────あれから4ヶ月後。
今日は、大安吉日。
うちは無事に完成し、今日は引渡しの日。
パパとママは、久しぶりの帰国になる。
時々電話はあったものの、高校生の娘を一人残してアメリカ生活を満喫してきた両親は、強者だな、と思わざるを得ない。
なぜなら、送られてくるLINEは、観光地でのツーショット写真ばかりだったのだから。
私は、晴天の中、ひとり新築の自宅へと向かった。
母がマンションの場所を忘れたらしい。
そろそろ中の案内は終わっている頃だろう。
近づいて行くと、なにやら騒がしい声が聞こえてきた。
これは…
「あっ!!!咲結ちゃん!!!久しぶりー!!」
大きく手を振る母と、微笑む父。そして成瀬親子が見える。
私も手を振り返しながら歩いていった。
「ねえ、咲結ちゃん!なんで教えてくれなかったの?こーんなかっこいい彼氏さんがいたなんて!ママ、おうちも大満足だったけど彼氏さんにうっとりだわー。」
「本当だよなぁ、ママ!帰国したらいっきに、最高の家と彼氏ができてたな!!咲結、やるな!」
えーっと、久しぶりに会った娘への言葉、それ…?
そしてなぜ朔也くんの事を。
「いやあ、こちらこそね、こんな可愛いお嬢さんが息子とねえ。嬉しくて俺は飛び跳ねましたよ!」
「まぁー!棟梁さんお上手!」
「いやあうちは男2人なもんでね、咲結ちゃんがよく夕飯のおかずまで差し入れてくれるようになって。」
「あら!昔から鍛えた甲斐があったわー!」
「朔也くん…」
「あ、わり。親父がすぐ言ってた。」
「あ、うん…」
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