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私の名前は、春山咲結、16歳。
平凡な家庭に生まれ、平凡な人生を歩み、平凡に成長した私は、この春憧れの制服の高校に入学して、平凡な高校生活が始まる!
……はずだった。
────事の始まりは、少し前の4月頭。
「えっ、うち、改築するの?」
それは突然決まっていた。
ママは、それはもう嬉しそうに話し始めた。
「そうなのよー! ほらパパの昇進が決まったでしょう?」
「え……うん、係長、だっけ……」
ママは、私が物心着いた頃にはすでに夢物語の中のヒロインのような人だった。
しかもそれは作っているんじゃなくて素。漫画で言うと、顔周りには華やかなお花がふわふわしてるような、よく言えばいつも幸せそうな人だ。
「うちもほら、おじいちゃんから継いだ家だから古いし、この際オシャレな戸建てを……なーんて、パパと展示場デートしたら、もうママ夢が膨らんじゃってパッ! と決めたのよ! うふ。もちろん、咲結ちゃんのお部屋もあるわよ!」
この時のメルヘンなママに、いろいろ言っても無駄なことは分かってる。
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