第一章 女神さまとのご対面

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 「あなたが飛び降りる前におこなっていたライブ配信によって、今までいじめに対して動かなかった教育の現場や、いじめをしていた子たちの心を少なからず変えたのです。テレビでも連日放送され、いじめを受けていた子たちは、それこそ自分たちの心の代弁者だと君に感謝し、生きる希望を見い出しました。それでも、いまだにいじめが無くなった訳ではありませんが、世界規模で減っているのは事実です。あそこまで大々的に、それも確証や根拠、証拠も合わせて放送し、自殺する人などいませんでしたから、教育機関や政治でも、二度と同じ過ちを犯さなぬ様、本腰を入れて取り組まざるを得ませんでした」  そう話す女神さまは、どこか楽しそうな雰囲気を出していた。どうやら女神さまもいじめに苦しんでいる人たちを何とかして救いたかったのかもしれない。俺の行動が少しでも人の為になったのなら、それはやはり嬉しく思う。  「さて、それでは優人さん。少し質問をしても宜しいでしょうか?」  「? はい。構いませんが……」  「では、あなたは生まれ変わったらどんな人生を送りたいですか?」  「そーですね。今度は楽しく生きていければ良いなと思います」  「楽しくとは具体的にどの様な?」  「今までの俺は、周りの視線や思いにビクビクして、思ったことも言えず、行動も出来なかった。最後の最後、死ぬ寸前にならないと覚悟も決められなかった。だから次があるならば、日々を楽しみたい、思った事を気兼ねなく話し、行動できる。そんな人生を歩んでみたいんです」  「それは自分勝手な行動したいという事ですか? 周りの事を考えず、ただ思った通りに行動し、自分の意見を押し通す。そんな生き方がしたいと──」  「違いますっ!」  俺は女神さまの言葉を食い気味に否定した。     
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