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昔は母さんのお小言がうっとおしいと思った事もあったけど、いなくなって、言われなくなって初めて母さんが俺の事を想って言ってくれていた事に気が付いた。
女神さまの優しくて温かく包み込んでくれる様な声と、心配してくれているという思いが伝わってきて、ついつい涙が浮かんでしまった。
「大丈夫です! いっぱい勉強して、女神さまがビックリするぐらいの魔術師になってみせますからっ! 楽しみにしていて下さい!」
俺はガッと目元を拭って、女神さまに笑顔を向けた。
すると、女神さまの方から、何やら泣いている様な雰囲気が伝わってきた。
「女神さま? どうかしましたか?」
「いえ。何でもありませんよ。では、今からエレフセリアに送ります。立派な魔術師になるのを楽しみにしていますね」
「はいっ! 必ず!」
俺が返事をすると、光が足元から浮かんできて全身を包み込んだ。
軽い浮遊感と共に、眠るように意識が薄れていった。
薄れゆく意識の中で、誰かの暖かな声が聞こえたが、意識を手放すと共に記憶から抜け落ちていった。
だけどその温かさは、しっかりと心に沁みわたっていった。
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