プロローグ

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 そして卒業式が終わり、決行間近。俺は屋上に上がった。  普段は厳重に扉を閉められているが、卒業式用の垂れ幕を飾る為に、今日だけは開いている。まぁ開いていなくても開ける方法はいくらでもあったし、用意もしていた。  とりあえず邪魔をされない様に、扉の前にはバリケードを作っておいた。これなら30分ぐらいは耐えられるだろう。  準備を終えた俺は、ノートパソコンにカメラを接続しライブ中継を始めた。  開始早々に閲覧数がとてつもない事になって笑えた。どうやら人は、他人の不幸を見るのが好きらしい。  俺は学校からパクッておいた拡声器を片手に柵の外に出て、いまだにグラウンドで友達と別れを悲しんでいる女子や、友情を確かめ合っている男子たちに向けて話し出した。  自分が今までされてきたいじめの事を。誰からどんな事をされたのか、どの先生に見て見ぬフリをされたか。.そしてそれがいかに自分を苦しめてきたのかを詳細に。  他人からすれば些細なことや、遊びの延長だったのかも知れない。しかし、受け取る側がどれほど苦痛に思っていたのかを、事細かに、心情も合わせて伝えていった。  そしてそれが原因で自殺を決めた事。今からここで自殺をする事を。     
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