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「申し訳ありません。どうやらあの姿は、あなたたち人の心では魅了されてしまう様ですね。この人に近い姿なら大丈夫でしょう」
ハープの音色のような澄んだ声が、女性のシルエットから聞こえてきた。
とても暖かな光に包まれた姿で、心を癒してくれ、落ち着きと安らぎを与えてくれた。
「どうやら落ち着いたみたいですね」
「はい。……ですが、えっと、ここはいったいどこですか? それに俺は死んだはずじゃ……」
「今から順を追って説明いたします。神代優人さん。あなたは先ほど学校の屋上から飛び降り自殺をして、本当に死んでしまいました。そしてここは女神である私の領域なのです」
どうやら俺が死んだのは間違いないらしい。でもどうして意識がはっきりしているのだろう? それに女神さまの領域っていったい…………。
「あなたは確かに死んでしまいました。そして本来死んでしまった人間は、そのまま記憶や意識を消されて転生するものです。生前のおこないによってその転生先は変わりますが、その転生方法は自動的なものとなっていますので、この様に女神である私と会うことなどまず在りえません」
「それじゃあなんで俺はこうして女神さまと話ができているんですか?」
「それは私が望んだからです」
「女神さまが望まれた?」
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