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それは奇妙な求人だった。
高校一年の夏休みに初めてのアルバイトを探していた私の興味を引くには十分過ぎるくらいに。
「年齢15歳くらいの女の子、身長156cm前後、髪は短いほうが望ましい?何これ、変なの」
でも私16歳だし身長も同じくらいで髪もショート。問題なさそう。
「仕事の内容は、室内での雑務(二晩宿泊していただきます)かぁ。香奈に協力してもらうしかないな」
高校はバイト禁止だったから、親には内緒でするつもりだった。
「えーと肝心のお給料はっと・・・七日間で、に、二十万円!?」
当時の私にとってそれはそれは大金だった。しかもたった一週間。
こんな怪しい話、今の私だったら絶対に乗らないけど、世間知らずだったあのときはその条件に目が眩んだ。
応募締め切りまで日がなかったので、急いで履歴書と画像を用意して応募した。
「でもあの条件だったら絶対に外見重視だよね、モデルとかかな。だったら写真の時点でもう無理だよ・・・」
全身とバストアップの写真が必要だったので自分で撮影したのだが、急いだせいで満足には程遠い写りだったのが悔やまれた。
ところが、応募から三日後に一次選考の合格通知が届いたのだ。
すぐに面接に来て欲しいという内容とこれまた妙な注意事項のあとに、住所が記されていた。
「意外と遠いなぁ。何とかバスで行けるかな」
そんなことよりも合格したことがとにかく嬉しかったのを覚えている。
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