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ようやく玄関に辿り着き大きなドアを開けると、きちんとした身なりの男性が出迎えた。
「お越しいただきありがとうございます。お部屋までご案内いたします」
さきほどインターホンに出た人だろうか。それよりも何だこの玄関。
いや玄関じゃなくてホールというのだろうか。
とても広い空間が広がって上も吹き抜けになっているし、天井からシャンデリアまで下がってる。
こんなの映画とかでしか見たことないよ・・・
少なくとも三度目の唖然とした顔で立っていたら出迎えた男性が、階段を半分上がったところで立ち止まり
「どうかなさいましたか?」
と声をかけてくれことでようやく我に返ったのだが
「し、失礼しました、あまりに素晴らしくてつい」
と誤魔化すのが精一杯で、急いで後について大きな階段を上った。
ここも撮影の為に借りたのだろうかとか、この人も役者?いや審査してるのかな。などと考えながらどこまでも続きそうな廊下を後について歩いた。
「お嬢様、水瀬様がいらっしゃいました」
男性が奥のほうの部屋の前で立ち止まってドアをノックしてからそう告げると、中から若い女性の声がした。
「ありがとう星野。水瀬様、どうぞお入り下さい」
では失礼しますと星野と呼ばれた男がお辞儀をして引き返していくと、一人取り残された私は恐る恐るドアを開けて中を覗く。
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