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「お邪魔いたします」
重厚な家具や、美しいカーテンが閉じられた大きな窓、壁や天井の装飾などそれら全てがシックではあるが豪華でそれでいてとても女性らしい見事な調和の部屋に目を奪われた。
なるほどこの洋館でお嬢様と呼ばれるようなお方ならば確かにこんな部屋が相応しい。
女の子なら誰でも憧れるようなとても素敵でゴージャスなお部屋。
だがてっきり面接官が待ち受けている事務的な部屋を想像していた私は少々面食らっていた。
「ようこそおいでくださいました水瀬様。どうぞこちらへ」
部屋中をきょろきょろと見回しながら声のしたほうに歩いていくと奥が寝室になっているようで、少女が大きなベッドに腰掛けているのが見えた。私と同じくらいの歳だろうか。
「はじめまして、サカキバラヒナと申します」
ここまでは雛お嬢様のお見舞いに来た友人として振舞ってきたのだが、はじめましてということはもう演技はしなくていいのか?
「ほ、本日はお部屋にまでお邪魔してしまい、た、大変恐縮・・・」
さすがにこういうときにどう言えばわからなくて下手なアドリブで話し始めると雛さんがくすくすと笑い出した。
「ごめんなさい、つい。ここでは普通に話しても大丈夫ですよ」
「そ、そうですか。あ、えっとはじめまして、ミナセアカリと申します」
雛さんは私の顔と体をまじまじと見つめてから嬉しそうに微笑んだ。
「お兄様は正しかったわ。確かに似ていますね」
「似ている?一体誰・・・」
「だろう?写真を見た瞬間にこの人だ!って感じたんだ」
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