奏でるは秘密の鼓動

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話を、意識を、逸らしてしまうのは、まだ俺の心の準備が出来てないから。 気づいて欲しいけど、気づいて欲しくない。 ……引かれんのが怖いんだよ。 「……たいがい俺も臆病だよな。」 ボソっと微かに零れた言葉は、白い息に乗って儚く消えていく。 「おら!もう帰んぞ!!」 「えーー!?」 スヌードから抜け出し、立ち上がる。 「ちょっと待ってよ!曲はー!?」 「んなの帰ってから何度でも聴いてやるよ! だからお前ん家泊めろよな!」 俺、鍵ねぇーし。なんて言い捨て歩き出せば、後ろから追いかけてくる足音。 だいぶ強めにタックルしてきたソウタは興奮気味だ。 「いっぱい聴く?感想くれる?あ!ゲームもしよ?」 「あー。ハイハイ。」 とりあえず適当に返事しとく。 やったー!!っと叫ぶソウタの声が夜の公園に響き渡る。 昔、一緒によく遊んだ公園。 幼馴染みの、ソウタと俺。 今はまだ、このままでいい。 いつか、この想いを伝えられる日がくるのなら、それでいい。 今はーーー 幼馴染みのこの場所がちょうどいい。 ……ま、ソウタん家に泊まるなんて俺にとっちゃ苦行以外の何ものでもないんだけどな。 はぁ……。 《END》
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