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「な?な?カッケーだろ??」
手汗がハンパなくて。
「ここのベースがイチ押し!」
ゴクリと生唾まで飲み込む始末。
「んで、ボーカルの高音やべーの!めっちゃハイトーンボイス!!」
聴こえてくるメロディーは反対側へとすり抜けていった。
「ちょっとテッちゃん!!聴いてんの?!」
突然スヌードが引っ張られ、目の前のソウタがさらに近づいて。
あらぬ方向に飛んでいた俺の意識は一瞬で戻った。
と同時に、視界がぐらりと揺れた。
「ーーうおぉっ!」
引っ張られた勢いで俺の体勢は崩れた。
一緒に倒れたソウタはベンチに頭を強打している。
痛ぇー!とか言ってるけど、引っ張ったのお前だからな?
気づくと、俺はソウタをーー見下ろしていた。
辛うじて、ベンチの縁を掴んで耐えたおかげで、ソウタを押し潰す事にはならなかったけど……これじゃあ完璧ーー襲ってる?
スヌードはいまので軽く伸びた。
それでも俺達の距離はさっきよりも近くて。
なのに……さらにグイっと引っ張られた。
「ーーなぁ、ちゃんと聴いてた?」
互いの鼻が擦れそうな距離で、真っ直ぐな視線に射抜かれる。
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