奏でるは秘密の鼓動

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こんなに間近で見る事なんてなかった。 いつもの明るくおちゃらけた子供っぽい姿はどこにもない。 凄く真剣なその目には、(わず)かな怒りが宿っていて。 そんなソウタもアリだな……なんて思ってしまうあたり、俺はだいぶ、ヤバイな。 抜け落ちたイヤホンからソウタの作った音が漏れ聞こえる。 「なぁ。聞いてんの?」 聴いてないけど、聞いてる。 なんて言ったらもっと怒るんだろうな。 でも、それすらもきっと見透かされてる気がする。 いつの間にか曲は終わっていて、一気に静寂が訪れた。けど、俺の心臓は反対にうるさくなる一方で。 俺達の視線は重なったまま。 しびれを切らしたのはソウタのほう。 「ーーテッちゃん!!!!」 ……っだぁぁぁ!もう!!!!! とりあえずこの距離は……駄目だ!! スヌードを掴んで離さないソウタの首筋に腕を差し込み、無理矢理起こす。 んで、平静を装い後頭部をひとなで。 「ーーん。タンコブは出来てねぇな。」 「は?んなの、どーでもいいよ!!」 「よくねぇだろ?これ以上馬鹿んなったら流石の俺も対応出来ねぇし。」 「はぁ?!」 うん。はぁ?だよな。俺もそう思う。
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