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レースの天蓋カーテンに二つの影が揺れる。鼻にかかる喘ぎ声が寝室に響く。
「あんっあっあっあっいやぁっやらぁっ」
力の入った足先がシーツに絵を描き、少年を押さえ込む相手の胸を少年は叩いた。抵抗しようにも相手の方が力が強い。手で淫らな口を押さえるが手を解かれ唇に相手の唾液が流れる。
魔法少女…いや、魔法少年が犯される数週間前_______…
世界中に魔法少女という存在が知られた今、彼女たちは世界の平和を守る兼アイドルとなった。オタクの聖地と呼ばれている秋葉原で、少年は好きなアイドルのグッズを買って帰る途中であった。
「だ~か~ら~、やめるって言ってるの!」
路地裏から聞き覚えのある声に少年の足が動く。覗いてみると、立っていたのは魔法少女いちご。なにを話しているのか聞いてはいけない気がして、少年はその場を立ち去ろうとする…が、誰かが捨てたであろう空き缶を蹴ってしまう。カランカランと音をたてる空き缶は、ゆっくりといちごの足元へと転がっていく。いちごの視線は空き缶の通った線を辿る。
固まる少年をいちごはじっと見つめた。
「ちょっとあんた、魔法少女になりなさいよ。」
ファンとして好きである魔法少女に、こんなことを言われる日がくるとは少年は思ってもみなかった。
「ぼくっ」はできませんと言う前に、いちごが少年の手を握る。家族を除いて初めて女性に触れられたのではないか?それよりも、混乱して頭が働かない。
「女なのにぼく?まーいーやっ。はい、これあげるね」
手渡されたうさぎのぬいぐるみに戸惑う少年を無視していちごは走り去っていった。
(ええええええええええええええ!!!!)
少年はぬいぐるみを見つめる。
かっ
裕「かわいい。」
白い毛並みに紅い瞳、垂れた耳がかわいさを際立てている。
取り敢えず持って帰ろう。
それは夕暮れの空が紅い日であった。
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