-1-

14/109
前へ
/792ページ
次へ
「なんだそれ」 シバが変わんないなぁ、って呆れ顔をしたあと、 思い出したみたいに付け加えた。 「…あ、そうだ。あいつだよ。例の」 「例の?」 お前が怪我して入院したときに、話したやつ。 変わったこというやつがいるって言っただろ。 シバの声が、エコーがかって聞こえた。 ---やっと会えた。 「あいつも、今日は二次会出れないって言ってたから。帰るんじゃね。確か同じ方向だよ、関西」 あとはもう、 ほとんどシバの声なんて聞こえてなかった。 やっと会えた、例のあいつを、 なんとかして引き留めないと。 いや、そこまではしなくても。 帰ってしまう前に、一言でも話をしないと。
/792ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加